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2014/09/09

西駒んボッカ③~雲上の世界~

登山道に入ってからはひたすら登り坂が続く。

登山家にとっては大したコトのない坂でも、平地でのマラソンを専門としているボクにはしんどい。

おまけに雨で所々ぬかるんでいる。

とても走ってなんか登れない。

Conv0060とにかくペースを落とさず、黙々と登るようにした。

少し緩やかになったら小走りしたり。

雨は相変わらず降っているけど、木々のおかげでそれ程の影響はない。

むしろ暑くなく、呼吸もしやすい。

このまま、着実に前に進んでいけば大丈夫。

ボクは順調にゴールを目指した。

焦らない、焦らない。

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Conv0066順調と思っていたけれど、やはり疲労は確実に溜まっていく。

呼吸が乱れるコトはあまりないけれど、とにかくマラソンであまり使わない筋肉が疲れる。

ずっと筋トレをしている様な感覚。

登山口に入ってから分水嶺までは1320メートルを一気に駆け上る。

Conv0072しかも段々と坂は急になっていく…という登山素人泣かせのコースだ。

事前に高低差表を見て、大変だろうなーと覚悟をしていたけど、とにかく延々と続く坂道にヘトヘトなボク。

Conv0073立ち止まって水分補給する回数も増えてきた。

登山道に入ってから何人か追い抜いたけど、結局、また追い抜かれた。

順位やタイムなんてどうでも良い。

とにかく早くこの苦しみから解放されたい。

Conv0065よし、エネルギーを補給しよう。

長野マラソンの時に余っていた携行食を水で流し込んだ。

ぐびっぐびっ…。

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これで少しは体力が回復するかな?と思いきや…

うげぇーーーーー(*_*)

そうだ!

この味だ!

やっぱりマズい!

長野マラソンの時の感覚が蘇る。

水で流し込んだので何とかなると思いきや、完全に身体が拒絶反応を起こし、胃の中がグルングルンしている感覚。

これ、やっぱりダメだ…ヤバい…かも。

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そのまま3回嘔吐。

立っているのもしんどい位にフラフラしつつ、ゆっくりゆっくり前に進んだ。

脱水症状にならないように、水分は少しずつ摂りながら。

汗と雨で身体は濡れている。

立ち止まると身体が冷えてしまう。

リタイヤするコトも考えた。

でも、周りには誰もいない。

あれ?

ヤバい…よ、これは。

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意識もうろうとしながらも、ゆっくり一歩一歩前に進んだ。

一歩一歩、坂を登った。

背中に背負った2,5キロのレンガが余計に重く感じる。

Conv0039フラッフラだった。

でも、負けない。

Conv0014昨夜、レンガには想いを書き込んでおいた。

完全復活を目指す親父への想い。

Conv0082ガンと闘う親友への想い。

家族への想い。

Conv0015そらネェにも書いてもらった。

誰かのために全力を尽くすって、責任あるし大変だけど、本来持っている力以上に頑張れるもんだ。

Conv0013いやいや、分かってる。

誰かのためになんて言って、怪我したり、体調崩したら元も子もない。

元気にゴールするってのが一番だ。

結局は自分のため。

Conv0017何とか想いと共にレンガをゴールに運ぼう。

あっ、ついでに「晴れ男」への想いも込めたレンガを…ね。

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Conv0050とは言え、既に心身の限界を超えているボク。

しんどい、しんどい、しんどい。

ボーっとしながら、林の中の道を前に前に進んでいくと、突然視界が開けた。

え?!

何…?

この広い世界は!!!

稜線に出たのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Conv0083 標高2580メートル。

雲の上のそこはまさに別世界。

青空の下、細かな水蒸気が太陽の光を浴びてキラキラしている。

Conv0064穏やかな風がボクを優しく包み込む。

まさに、そこは天国だった。

テレビや写真でこんな山上の風景を見たコトはあるけど、実際、目にした風景は言葉で言い表せない神々しさ。

ただただ素晴らしい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あと少しですよー」

「頑張ってくださーい」

少し登った上の方から、スタッフが声を掛けてくれた。

自然と涙が出た。

理屈抜きに自然に流れてくる涙。

限界を超えたからこその涙なのか、期待も予想もしていなかった光景への涙なのか、スタッフの温かな声援によるものなのか。

分からない。

何だか分からないけど涙がこぼれた。

山、すげー。

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しばらくすると、再び、青空は隠れ、辺りは雲に包まれた。

Conv0074ゴールの「西駒山荘」まではあと100メートルたらず。

傾斜こそ緩やかだったけど、思ったよりも長い距離を歩き、ゴールを目指した。

Conv0062バックパックからレンガを取り出し、スタッフに差し出した時点でゴールとなる。

一足先にゴールしていた後輩の「山ちゃん」が、ボクを出迎えてくれた。

Conv0076普段から登山をしているだけあって元気一杯の彼は、何枚か写真を撮ってくれた。

一言二言会話した後、ボクは山小屋へ。

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太ももの辺りが痙攣し、寒い。

Conv0061乾いた上着に着替え、そのまま倒れこんだボク。

限界だった。

そのまま30分近く寝ていたんだろうか。

目を覚ますと、ゴールした「ボス」が近くに座っていた。

Conv0079同じくらいの体型、体力、マラソン経歴の彼もまた、きっと同じ位にしんどい想いをして登ってきたコトだろう。

お互い、お疲れさま。

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ひと眠りしたボクはすっかり元気回復。

大会スタッフが用意してくれた「みそ汁」と「コーヒー」が、疲労した心と身体にスーーーッと染み入る。

Conv0077 ありがたいなぁ。

温かいなぁ。

嬉しいなぁ。

本当にありがとうございます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

Conv0028小屋の外に出ると天気も回復し、青空だった。

太陽の光で溢れている。

人も空気も会話も全てがキラキラしている。

なんて開放的で素晴らしい世界なんだろう。

そこに立つ「西駒山荘」は真新しく、ほんの少しはその再建に役立てたのであれば心から嬉しく思う。

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ちなみに、昨年の大会はまだ山小屋が建っていなかったので、ゴール後に休む場所はなかったらしい。

Conv0055今回、限界状態でゴールしたボク。

温かな部屋の中で休めなかったらどうなっていたんだろう。

そう思うとゾッとする。

Conv0054西駒山荘、ありがとう。

今までの100年同様、この先100年も、沢山の登山家たちの心と身体を癒す、そんな存在であって欲しいと切に願う。

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Conv0059西駒山荘と大会スタッフの方々の気配りに心身癒されたボクは、3人で下山するコトに。

レースは往路のみだけど、スタート地点まで無事に戻って終了となる。

Conv0078 3人で色々おしゃべりしながらの道中がまた楽しかった。

豪華抽選会のある閉会式に間に合わせるべく、最後は3人一緒に走った。

そして無事、下山。

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Conv0081 今の自分の限界に挑戦出来た今回のレース。

沢山のコトを学び、感じるコトが出来た感動のレースだった。

記録は3時間52分26秒、157人中97位。

今のボクが限界まで頑張った結果だ。

高低差1773メートル、往復23キロほど、約8時間、ボクは限界を超えながら前に前に進み続けた。

Conv0057我ながら、よく頑張ったと思う。

お疲れ、自分。

そして、レンガに込めた想いが少しでも届けば幸せだ。

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Conv0058翌日、地方紙の朝刊を見てビックリ。

眠りから覚めて元気一杯、ご機嫌で、満面の笑みを浮かべるボクが写っていた。

157分の1の確率。

何だか分からないけど、やっぱり、山、すげーーー。            

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コメント

こんばんは!
ゴールおめでとうございました♪ 間に合わなかった、しかも友達の付き添いだったオバちゃんです(笑)。
けど行けて良かった、歩けて良かった西駒んでした! 稜線の青空が、もんのすごく綺麗でしたね~♪
その新聞、私も観ました、ネットでw まさか、ご本人が写ってらっしゃるとは思いませんでした。

投稿: 鈴子 | 2014/09/10 23時26分

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