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2009/10/14

先輩との縁~後編~

卒業後、ボクは計画通り、ほぼ無計画の旅に出た。

計画なんて、本当にあって無いようなものだった。

行きたい国、行きたい街、行きたい名所、旅の目標・・・そんなものは行く先々で目まぐるしく変わっていく、そんな一人旅。

でも漠然と、先輩がいるケニアには行きたいと思っていた。

ボクが南米大陸を旅している頃、先輩はまだ、福島県にある青年海外協力隊の訓練所にいた。

世界各地の開発途上国に行き、英語、または現地の言葉を使って、その国の発展に役立つコトをするんだから、想像を絶する訓練が行われるんだろう。

当初、南米大陸を旅し終えた後は、飛行機でアフリカ大陸に飛び、ケニアと周辺諸国だけ旅するつもりだった。

それがまぁ色々あって、南アフリカに飛び、そこから東海岸を北上してアフリカ大陸縦断するコトに。

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先輩には何度か、近況や計画を知らせるEメールを送ったけど、返信はなかった。

訓練中だったコトもあるし、今よりずっとネット環境が悪い10年前の話なので、無理もない。

ボクは、とりあえずケニアを目指して、少しずつアフリカ大陸を北上していた。

そんな時やっと、訓練を終え、これから日本を発つという先輩からメールが届いた。

赴任地は、キタインゴです。

そんな簡潔極まりない一文。

詳細について、再度ボクが送ったメールへの返信はなかった。

まぁケニアに行って、「キタインゴ」って言ってれば何とかなるに違いない。

超前向きで楽観的なボクは、そんな風に思いながら再びケニアを目指した。

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タンザニアからケニアに入国したボクは、国境の町でとりあえずその辺の人に話しかけてみた。

キタインゴに行きたい。

数人に尋ねたけど、皆、口を揃えて言う。

知らない。

なんてステキな展開なんだろう。

ボクはめげずに、とりあえずケニアの内陸を目指すコトに。

キタインゴ」という呪文の様な言葉は、ボクを山奥に山奥に導いてくれた。

バスやトラックを乗り継いで着いた「キタインゴ」は、日本人が思い描くアフリカではなかった。

アフリカというより、むしろ信州の様な木々が茂る山奥だった。

その辺に、ひなびた温泉宿でもありそうな。

そこでボクは「キタインゴ」に続く呪文を唱えるコトに。

ニシヤマタイスケ

そう、先輩の名前である。

その呪文を唱えれば、先輩に会えない訳がない。

だってそんな奥地にいる日本人なんて、現地では超有名人に決まってる。

ところが集まった村人たちは、皆、口を揃えて言う。

知らない。

なんてステキな展開なんだろう。

ケニアの山奥で、ボクは妙な興奮を覚えた。

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今になって思えば、先輩の名前が知られてなくても当然。

当時、先輩は赴任したてだった。

さらに先輩が勤める学校は、キタインゴから更に奥の地区だったコト。

それでも会わない訳にはいかない。

いや、会えない訳がない。

色んな人に必死になって尋ねて回り、ボクは、ついに「ニシヤマタイスケ」を知る人物に出会った。

その人がまた別の人に連絡してくれ、そんなこんなで、ついに「キタインゴ」に「ニシヤマタイスケ」がやってきた。

まさに感動の再会だった。

Conv0009キタインゴでの生活については、旅している時に連載していた地方紙にも書いた通り

一生忘れるコトのない貴重な時間を、ケニアの山奥で、先輩と一緒に過ごConv0008した。

ケニアの奥地で、黒人の先生たちに交じって、英語で理科と数学を教える先輩は格好良すぎた。

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任期を終えて帰国した先輩は、実家のある大阪で中学教師になった。

あの場所で再会を果たしたボクたちにとって、日本での再会はあまりに容易。

もちろん呪文なんて必要ない。

互いに連絡を取り合い、何度か再会を果たした。

ボクの結婚式にも大阪から駆けつけてくれた。

もはや「縁がない」なんて言わせない。

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今回出席してきたのは、そんな先輩の結婚式。

Conv0006 挙式会場は、神戸空港があるポートアイランドの端。

海の向こうに淡路島や神戸の街が見えた。

国内なのに海外挙式。

Conv0007 永久の愛を誓った直後、隣接した空港から、飛行機が空高く飛んで行った。

何だか先輩らしい、ステキすぎるロケーション、何よりステキな新郎新婦の二人。

スピーチを頼まれていたので、出会いから今日までのコトを話しながら、二人へのお祝いの気持ちを届けた。

ちょっと強引だったけど、ケニアの山奥まで行って掴んだ先輩とボクとの縁。

きっと本当の縁で結ばれた先輩夫婦。

経緯は違うけど、どっちの縁もボクにとって大切な縁。

これからもずっと、ボクにとって尊敬できるデッカイ先輩でいて下さい。

結婚おめでとうございます。

末永くお幸せに。

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