前置きが長くなったけれど、我が家に新しい仲間がやってきた。
9年前、どこかの誰かの元で新車としてデビューした彼。
整備簿なんかを見ると、きちんと定期的に整備されていて、リコール箇所もきちんと対応、修理されている。
元々リーズナブルさが売りだった車ながら、最上級グレードの彼には、オプションでサンルーフまで付けられている。
体は色褪せするコトもなくピカピカなので、車庫に入れられていたんだろう。
目立った大きな傷もない。
よく見ると小さな擦り傷もあるけれど、年を経るってコトはそういうもんだ。
気にしない。
総走行距離は5万500キロなので、年間6000キロくらいしか走っていない。
ボクは少し妄想してみた。
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平成12年、26歳の息子と大学生の息子を持つサラリーマンの隆志(56歳)は、セダンからこの車に乗り換えた。
息子二人が家を出た今、昔のように家族で旅行に行くコトもない。
車で出掛けると言えば、もっぱら妻との買い物くらいだ。
しかし、そのうち息子も結婚して、孫を連れて来る日もやってくるだろう。
そんな時、3列シートがあるこの車が活躍するに違いない。
普段、使わない3列目のシートは床下に収納しておける。
15万円も余計にかかるが、サンルーフを付けておけば孫も喜ぶに違いない。
孫のためだ。
地図を読むコトには自信があるが、ナビに頼る旅行、それもまた楽しいかもしれない。
色は・・・ディーラーの木村君に薦められた「シンフォニックシルバー」にしようか。
ゴールドに近いシルバーなので、落ち着きもあり高級感もある。
よし、決めた。
この車を買おう。
その後、早期退職した隆志は、この車で趣味のゴルフに、妻とも頻繁に出かけた。
数年後には予定通り、息子夫婦と孫を乗せて温泉旅行にも出かけた。
電動のサンルーフを開くと孫は大喜び、そんな姿に目を細める隆志だった。
そんな風に愛されたこの車も何らかの事情で、数年前に隆志とサヨナラするコトに。
故障するコトもあったけどなかなか良い車だったな・・・。
この車との思い出を振り返る隆志(63歳)だった。
妄想、終了。
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その後、何箇所か転々とするものの不人気車だけあって売れるコトなく、最後は埼玉県の中古車販売店に展示されていた彼。
ネット上でそんな彼と出会ったボク、彼が不人気車になった経過、理由を調べるコトに。
会社の不祥事、エンジンを中心とした機能的な不完全さに加え、そのヌボッとした外見も不人気の要因となっていた。
確かに格好良くはない。
でも、ボクは嫌いじゃない。
ネット上で可能な限り情報を仕入れた後、やはり実物を見ないと心配なので、一度、埼玉にある店に足を運び、店員に詳しい説明を受けた。
中古車は、外見上分からない部分がきちんと整備されているか、定期点検などをきちんと受けてきたか。
素人のボクが車を見たって分からないコトだらけ、ただ、何を確認すれば良いか位は事前に調べておいた。
車は機械なので、壊れる時は壊れる。
あとは、相手が「信用できる人」かどうか。
不明な点、不安な点をきちんと説明してくれるか。
最大限の整備をしてくれるか、購入に際して誠意を持った対応をしてくれそうか。
定期保証は付けてくれるか。
世界を歩き沢山の人と出会ったボクは、相手を信用できるかできないか、自分なりの感覚がある。
そしてボクは決めた。
沢山の課題を乗り越え、決して今でも完璧じゃない車だけど、この店でこの車を買おう。
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そんな訳で我が家にやってきた彼。
正確に言うと、埼玉まで足を運び、その場で前の車を下取りに出し、彼を購入、乗って帰ってきた。
彼の名は『三菱ディオン(エクシードスーパーパッケージ) 平成12年型』
3列目もあるので、今までの車よりも広く、使い勝手が良い。
確かに不人気車だけど、使い勝手は良くてお勧めだと他サイトで紹介もさ れている。
ボクは過去3台、赤い色の車に乗ってきた。
今回もホントは赤が良かったけれど、つまらない意地を張るのはやめた。
40歳を超えた紳士たちが好みそうな落ち着いた内装、そして渋い外装が 何とも言えない。
実にマンダム極まりない車である。
20代の若者には乗れないだろう、この渋い色、そしてこの車を乗りこなしてやる。
家族を持つってコトは、何かを我慢しなくちゃならない。
でもそんな我慢が出来ることも幸せだ。
両親が沢山我慢してくれたおかげで、ボクたち4人兄弟は不自由なく、幸せな生活を送れた。
今度はボクの番。
いつの日か、真っ赤なプジョーの新車を手に入れるコトを夢見つつ・・・。
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さて、買って数日後、エンジンのアイドリングがやや不安定に。
ヒヤッとしたけど、ネット上で話題になっていた通りの症状だったので、覚悟は出来ていた。
ディーラーに持ち込んでコンピュータをチェックすると、数箇所がエラーになっていたらしく修復してもらった(保障期間内なので費用は販売店に請求)。
エンジンには、ネットで紹介されていた添加剤を購入、その後は問題なく調子が良い。
今ではむしろ、これまで乗ってきたどの車よりも、静かで燃費も良い。
今回、下取りに出した車もGDIエンジン搭載の超不人気車だったけど、3年間故障するコトなく安全にボクたちを運んでくれた。
不人気車の名に恥じるコトなく、走りは重く、燃費は悪かったけど、ファミリーカーとしては文句なかった。
GDIエンジンは、定期的なオイル交換など管理が大切、それでもこの先、故障するコトはあるかもしれない。
でも負け組だなんて言わせない。
やっぱり不人気車だ~なんて言わせない。
格好悪くたって良い。
我が家の家族と、そして沢山の思い出を乗せて走る、そんなファミリーカーとして期待したいと思う。
全オーナーの隆志が9年前にそうした様に、ボクもまた、この車との未来を思い描こうと思う。
ちなみに新車時には、車両価格で200万は超えていた彼。
今回購入した車両価格は脅威の18万9千円+諸経費。
ノートPCかよ!って感じの値段である。
よくもそこまで人気が落ちたもんだ。
不人気車ってすごい。
GO!GO!ディオン!!!
負けるなディオン!!!
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